2000.11
朝日新聞社
ISBN:978-4022575586


 






2012.04
河出書房新社
ISBN:978-4309021072


 

宗教人類学者である山形氏による著書の表紙カバー絵(装画)に起用されました。
使用された絵は「白い輝き」(朝日新聞社)、および「白い秋」(河出書房新社)です。
朝日新聞社版の装幀は、日本における装幀の第一人者・菊地信義氏によるものです。

学問やその背景にある人生の歩みと精神の旅が描かれています。
「ラスト・サパー」とは、最後の晩餐のこと。
丁寧にページをめくりたくなる、穏やかな鎮魂のエッセイです。

増田信敏の作品にただようあの不思議な静謐は、いったいどこからくるのだろうか。
それを根源に向かって問いつめると、旧約聖書『創世記』の冒頭の言葉が浮かんでくる。
はじめに神は言われた、「光あれ」と。
すると、次の瞬間、混沌の暗闇は消滅し、飄々と広がる暗闇の無限空間から、ひとつひとつの事物が身じろぎすることのない不動の存在としてその形をあらわにするのだ。
それだけではない。
物の形が生命であることを開示する。
私は思う。
増田のあの静謐は、おそらく増田自身が暗闇の混沌を区分し、事物を構造化し、秩序を創りだす創造者の存在を直感するところからくるのではないか。

増田の深い静かな自己省察は、私にかつて出会ったエジプトの砂漠に棲まう修道士の透徹したまなざしを想起させる。
 
宗教人類学者 山形孝夫

(山形孝夫(ヤマガタ タカオ)氏略歴)
1932年、宮城県仙台市生まれ。宗教人類学者。
東北大学文学部 宗教学・宗教史学科卒業。同大学院博士課程修了。
東北大学講師、宮城学院女子大学教授、学長を歴任し、同大学名誉教授。
『砂漠の修道院』(平凡社)で日本エッセイストクラブ賞受賞。
『レバノンの白い山』(未來社)『治癒神イエスの誕生』『聖書の起源』(以上、筑摩書房)『聖書物語』『黒い海の記憶』(以上、岩波書店)『図説聖書物語 旧約篇』『図説聖書物語 新約篇』『聖母マリア崇拝の謎』(以上、河出書房新社)『聖書を読み解く』(PHPエディターズ・グループ)『3・11以後 この絶望の国で』(ぷねうま舎/共著)、訳書に『マグダラのマリアによる福音書』(カレン・L・キング著・新免貢共訳・河出書房新社)など著書多数。